素人ハゲが、ハゲ治療で宝を掘り当てた話。
隠すほど醜くなる。丘を晒した男の記録。
先に言っておく。
俺はハゲていない。ハゲそうなだけだ。
つまりハゲ初心者。SNS初心者の俺と同じ位置に立っている。購読者と毛根、どっちが先に増えるかのデスゲームをしている。
世の中ではハゲは「隠すもの」ということになっている。コンプレックスである。
断言する。隠すから醜くなる。隠すやつは、一生それと戦い続ける。
今日はその話をする。
「素人ハゲ」爆誕。丘の先に見えるもの。
ある日、鏡の前で気づいた。
天井がダウンライトだったせいかもしれない。前髪を上げた奥に、頭頂部の丸い丘が見えた。
はぁ? えっ? んっっ?
俺、ハゲてない。そう言い聞かせ、何度も確認してみただ、丘はそこにあった。家賃も払わず、出ていく気配もなく。
翌日、風呂上がり。またいた。次の日も、その次の日も。
丘は、住み着いた。
新規記事の通知を受け取るために登録してね!
論理的にはハゲてもいい。でも嫌だった。
俺はずっと友達に言ってきた。「ハゲたっていいじゃん」と。
論理的には本気でそう思っていた。美容室代もシャンプー代も浮く。合理的だ。むしろ得まである。
全部、嘘だった。
自分の頭に丘ができた瞬間、その理屈は一秒で蒸発した。なんか嫌だ。理由はない。ただ嫌だ。
人の悩みには冷静で、自分の悩みには取り乱す。
人間はだいたいこれである。俺もそうだった。
数日して、おれは立ち上がった。
理屈ではなく、嫌だという感情で。
数日後。
、、、なんていい時代なんだ。
スマホで「AGA」と打つ。
四次元ポケットのように、有益情報がドラえもん級に流れてくる。飲み薬、塗り薬、お注射、植毛。夢と希望のフルコース。
空だって自由に飛べそうだ。
だが情報は人を惑わせる。選択肢が多いほど人に。
悩んだ末、俺の指は勝手に「カウンセリング無料」を押していた。
ピッ!!
予約しました。
選択の余地はなかった。「無料」の二文字に、人類はまだ勝てない。
出会い、同志、決別、誓い
数日後、
クリニックには、俺の手を優しく導く女神がいる。そう信じて扉を開けた。
白く清潔な空間。受付に女神。番号札をもらって席を見渡すと、そこに同志がいた。素人も玄人もいる。だが共通点が一つ。
全員、スマホを見て俯いている。目が合いそうになると、合う寸前で逸らす。俺もやった。
笑えるか。ここまで来て、まだ隠してる。傷を見せ合うのを恥じている。
その光景こそ、コンプレックスの正体だ。同じ部屋にいるのに、全員ひとりで戦っている。
俺は心で誓った。お前らとは違うやり方で出ていくと。
2つの試練と上映会。丘の写真集
361番の方〜!!
部屋に入ると女神がいた。
「今回はお薬の処方をご希望ですか?」
薬じゃ不安だ。最善を頼む。女神は「まずは状況を見ましょう」と言った。
次の個室に移動した。
ここはレントゲン室みたいに狭く、白く、明るい。
中央の椅子に座らされる。
「お写真撮りますね」
え?あっ、はい、、、
女神がヘアクリップで前髪を上げて、とめていく。
パシャ。パシャ。パシャ。
裸より恥ずかしかった。
今後の人生で、一番見られたくないものは?と聞かれたら「丘」と答えるくらいに。
最後に問診室。
そう、病院と同じような問診室。
女医と会話し、進行状況を会話する。
いつもと変わらない光景。
その安堵は一瞬で過ぎ去った。
いつもと違う。
画面に映っていたのはカルテではない。
画面いっぱいの「俺の丘の写真集」だ。
一人で見るのはいい。
写真を撮られるのもいい。
一番つらいのは、女神と並んで自分の丘を見つめる時間だ。
「前の方が、進行してますねー」
味わったことのない恥ずかしさが、全身に流れる。
おまけに女神は呪文のように繰り返す。
AGAの進行には。AGAの治療には。AGA、AGA、AGA、、、
その瞬間俺は思い出した。
俺は試されているかもしれない。
ならば、立ち上がり、戦わねば。と
そして悟った。この恥ずかしさを乗り越えない限り、俺は一生丘を隠して生きる。
金じゃない。未来への投資だ
「どこから始めますか?」
ハゲを治せるなら全部でやりたいです。
「一般的にはお薬からの方が多いです」
僕に猶予はないので。ハゲを治るなら全部やります。
「高額になりますが、ご予算は?」
金じゃないんです。未来への投資です。ハゲに予算はありません。
そう、ハゲで全部押し通した。
AGAではなく、ハゲを貫いたのだ。
論破ではない。気合だ。
論理を捨てた人間は、誰にも止められない。
さすがの流石の女神も俺を認めた。
飲み薬、発毛ドリンク、毛根遺伝子注射、育毛促進注射、発毛スプレー、発毛シャンプー。フルセットだ。
しかし、見積もりは高すぎた。
未来への投資を語った口で、俺は言った。「モニターでもなんでもいいんで、安くなりませんか?」
ここまでくれば値下げ交渉なんて恥じらいでもなんでもない。
今の俺は無敵だ。
ハゲは、奪うだけじゃない。むしろ俺に全部くれた。
ハゲ治療で得たもの。未来の髪の毛と圧倒的経験、そしてネタ。
金は失った。
だが得たものの方が圧倒的に多い。
少なくともこの記事一本、丸ごとハゲがくれた。
コンプレックスは隠すものということになっている。
逆だ。
隠した瞬間、それは一生お前を支配する。
晒したやつだけが自由になる。
とある日の会話。
「実がハゲ治療行ったんだよねー」
「え?まじで?どうだった?」
「写真撮られてめっちゃ恥ずかったわ。笑」
「うける!! それはきついな!笑」
「しかもさ、思ってる以上にハゲ散らかしたわ、、、笑」
「そう?そんなことなくない?」
「本当にそう思う?」
スッと出す
丘の写真集を
笑われたんじゃない。笑わせたのだ。
この投資は成功だ。








浦安鉄筋家族を思い出したww
くぅ、、笑
私はここまで受け入れる強さはないです笑